大切に農家が育てても捨てるしかなかった規格外野菜に、新しい商品価値を持たせる取り組みを始めました。飲食店が導入しやすい 1セット 3,000円程度の価格に設定し、見た目は少し悪いけど美味しい有機野菜を業務用野菜として定期的に出荷します。
■廃棄される高品質の有機野菜を3割安で飲食店に販売
食べられるのに、見た目の悪さで廃棄されてしまう野菜がある一方で、飲食店の経営では少しでも原価率を下げる工夫が進められています。
このような流通のミスマッチが生まれる中、アジアインタートレード株式会社では規格外と判断された野菜を30%程度安く業務用の食材として販売する仕組みを構築しました。
対象となる農作物は、厳選された農家が育てた有機野菜の規格外です。現状のシステムでは、ある程度の量をまとめて出荷する必要があるため、購入者となる飲食店には、5品目5kg程度の野菜を 3,000円(送料込)で販売。月に1、2回程度の定期購入で契約していただいています。
農家が大切に育てた有機野菜を無駄にすることなく食材として出荷できる。飲食店にとっても、美味しい野菜を安価に購入して来店客に提供できる。生産者と消費者の両方が、価値を享受できる取り組みです。
今後弊社では協力農家の数を増やし、個人向けのネット販売など、小ロットでの流通も促進する予定です。
■世界的な課題「フードロス」を減らすために
今年の5月にイスタンブールで開催された農業大臣会合(G20)では、食料ロスと廃棄を減らすために、新しいプラットフォームの設立が採択されました。
かねてより国連の食糧農業機関(FAO)では、世界で人の消費向けに生産された食料の3分の1が失われていることを問題視しており、G20の宣言を歓迎しています(※1)。
食品廃棄の問題は日本でも同様です。
小売店に卸す際に、規格外として出荷から外される野菜や果物、輸送中に傷がついて廃棄される食料品など、食品ロスを減らすために、農林水産省では「食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)」(※2)を推進しています。
このような情勢を背景に産直ビジネスも盛んではありますが、対象となるのは「規格内」の野菜。一般的にスーパーマーケットなどで販売しているような野菜を農家から直接買える。という部分をセールスポイントにしています。
まれに「わけあり商品」として規格外野菜も販売することはありますが、通常「規格内」を販売している業者はブランドイメージの低下を避けるため、規格外を大々的に販売することはできません。
弊社では、農作物を育てる中で20%程度生まれる規格外の野菜に商品価値を持たせることで農家に貢献し、ひいてはフードロス問題にも取り組んで行きたいと考えています。
また、先述した通り規格外野菜の問題は、国内にとどまりません。中小企業の海外市場進出支援、海外の販売代理店との契約締結を進めてきた弊社では、当ビジネスも日本で基盤を固め、早い時期に海外での展開も視野に入れています。
※1. G20が食料ロスと廃棄を抑制するための情報共有を強化
http://www.fao.or.jp/detail/article/1315.html
※2. 農林水産省|食品ロスの削減・食品廃棄物の発生抑制