GWが明けた5月は、野菜の仕入れ環境が大きく動く月です。春の端境期リスクが続く品目がある一方で、夏野菜の出始めと春野菜の最盛期が重なり「今月だけ安く買えるチャンス品目」も出てきます。
「何となくいつも通りに発注している」では、この時期の価格変動に振り回されて原価率が悪化します。今月の市況を把握した上で「何を増やし、何を減らすか」を意識的に判断することが、5月の仕入れ担当者の最重要ミッションです。
本記事では2026年5月の品目別の価格動向と、今月の仕入れで押さえるべきポイントをまとめました。発注計画の参考としてそのまま使える内容になっています。
1. 2026年5月の市況総括——今月の野菜相場の全体傾向
まず5月全体の相場感を把握しておきましょう。4月後半から続いていたいくつかの傾向が、5月に入ってどう変化するかを整理します。
5月のキーワードは「葉物で攻め、根菜は守る」。キャベツ・レタス系を積極活用しながら、じゃがいも・にんじんは代替品の準備を並行して進めるのが今月の正解です。
2. 品目別の詳細——今月の仕入れ判断を品目ごとに解説
【キャベツ】今月の最優先活用品目
4月後半から続く下落トレンドが5月も継続する見通しです。国産に加え、韓国・台湾・中国からの輸入キャベツが市場に増えており、価格が下落傾向にあります。ただし産地によって品質のばらつきが出ている時期でもあるため、単価だけでなく葉の状態・内部の充実度を確認することが重要です。
・炒め物・お好み焼き・ロールキャベツ・スープなど用途が広いため、今月は使用量を増やすチャンス
・輸入品を使う場合は必ず担当者に産地を確認し、使用前に葉の状態をチェック
・春キャベツは甘みが強い反面、葉が薄く傷みやすい。少量・高頻度発注の原則を継続
今月のアクション:キャベツは仕入れ量をやや増やし、価格が高止まりしている他の食材のコストをカバーする「エース食材」として活用しましょう。
【レタス・葉物全般】品質・価格ともに安定
ほうれん草・水菜・レタス・にらなどのハウス栽培主体の葉物は、5月は価格・品質ともに良好な時期です。気温が上がりすぎるとトウ立ち(茎が伸びて品質が落ちる現象)のリスクが出てきますが、5月中旬までは安定した品質が確保できる見通しです。
・サラダ・副菜・付け合わせへの積極活用を推奨
・月後半から気温が上がりはじめるため、発注量は週単位で調整する
・5月下旬〜6月は梅雨入り前後で鮮度劣化が加速するため、今月中に「小まめ発注」の習慣を定着させる
【新たまねぎ】価格急落中だが「品質ムラ」に注意
4月後半から新たまねぎの出荷が増え、価格は急落傾向に転じています。一見「買い時」に見えますが、雨が少ない産地では芯焼けや内側の傷みが出ている個体があり、品質の選別が必要です。
注意:「安い=品質が良い」とは限らない時期です。届いた玉ねぎは必ず断面を確認し、芯焼け・水浸し状の変色がないかチェックしてください。
・炒め・スープ・煮込み用途は問題なし。生食・サラダ用途は品質確認を徹底する
・5月下旬には新物が安定してくる見通し。品質が不安定な間は発注量を控えめにする
【にんじん】産地切り替え期——ロス率上昇に注意
九州産(春にんじん)の最終出荷と、新にんじんへの切り替えが重なる時期です。新にんじんは水分量が多く、カット時に果肉が崩れやすいためロス率が通常より高くなります。細切り・千切りメニューでは特に注意が必要です。
・スープ・煮物などの加熱調理メニューは冷凍ダイスにんじんへの一時切り替えを検討
・発注量を普段より10〜15%減らし、ロス分を見込んだ量に調整する
・担当者に「今週入荷のにんじんの産地と状態」を確認してから発注する習慣をつける
【じゃがいも】今月最大の注意品目
貯蔵じゃがいも(北海道産のヒネ物)の在庫が底をつきつつあり、5月は1年で最もじゃがいもの調達が難しい時期のひとつです。特にメークイン・キタアカリなどの特定品種は出荷制限がかかるケースもあり、欠品リスクが高まっています。
じゃがいもの注意点:北海道産の新物が安定して出回るのは7月以降。5〜6月は「じゃがいもを多用するメニュー」の量を意識的に調整する必要があります。
・フライドポテト・コロッケ用途は冷凍カットポテトへの一時切り替えを検討
・煮物・肉じゃがなどは、里いも・さつまいもへの部分切り替えでメニュー対応
・担当者に「今月のじゃがいも在庫状況と品種別の入荷見通し」を今週中に確認する
【旬の春〜初夏野菜】今月の「季節感メニュー」チャンス品目
5月は春から初夏に切り替わる旬野菜が出始める時期です。これらをメニューに取り入れることで、季節感の演出とコスト管理を両立できます。
3. 5月の仕入れで「原価率を守る」3つのポイント
品目別の動向を把握した上で、5月の原価率を守るために今月実践すべき戦術を3つ示します。
①:高騰品目を「安定品目」で意識的に置き換える
じゃがいも・にんじんが高騰・品質不安定になる今月は、価格が安定しているもやし・きのこ類・豆苗を副菜・付け合わせに積極活用することで原価率を下げられます。たとえば「じゃがいもの副菜」を「きのこの炒め物」に変えるだけで、品質を落とさずにコストを抑えられます。
もやし・きのこ・豆苗は工場生産のため天候に関係なく価格が1年中ほぼ一定という特性があります。端境期・高騰期のエース食材として常に意識しておきましょう。
②:夏野菜の「価格が下がる月後半」に備えて準備する
トマト・なす・ピーマン・きゅうりは5月前半はまだ「出始め」で高めですが、月後半〜6月にかけて価格が落ち着いてきます。今のうちに夏野菜を使ったメニューの試作・準備を進めておくことで、価格が下がったタイミングですぐに切り替えられる体制を作れます。
・今週:夏野菜を使ったメニューの候補を1〜2品考えておく
・5月後半:トマト・きゅうりの価格が下がってきたら仕入れ量を段階的に増やす
・6月以降:夏野菜を主役にしたメニューにシフトし、高騰している根菜の使用量を減らす
③:今月中に「梅雨・夏の仕入れ体制」を整える
5月は梅雨・夏への移行準備ができる最後の余裕ある時期です。6月に入ると鮮度管理・温度管理・価格変動への対応が同時に必要になり、準備する余裕がなくなります。
今の仕入れ業者に「夏の配送温度管理体制・台風時の対応方針」を今月中に確認する
葉物野菜の発注を「週2回→週3〜4回・少量ずつ」に切り替えるタイミングを今月中に設定する
冷凍野菜(ブロッコリー・ほうれん草・枝豆)を緊急時の補完在庫として確保し始める
4. 5月の「仕入れ先との対話」でやるべきこと
5月は仕入れ担当者として、業者との関係を強化するベストタイミングでもあります。夏の繁忙期が来る前に業者担当者に確認・相談しておきましょう。
これらを今月中に確認しておくことで、6月以降の仕入れが「対応する」から「準備していた通りに動く」に変わります。夏を制する仕入れ担当者は、5月に動いています。
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