今月は「定番の玉ねぎが平年比で大幅高」「一方でキャベツが割安、アスパラガスはこの時期お得」というニュースが相次ぎ、しかも直近は全国で大雨の被害がありました。仕入れ判断がかなり難しくなってきています。実際、玉ねぎが平年比+25%、ねぎ+23%、トマト+16%と価格が高く、キャベツは−14%と割安との情報が出ています。アスパラガスは毎年この時期が最安期になりやすいという声もあり、飲食店の仕入にとって「高騰しているトレンドを避けつつ、安定・お得品でメニューを組み替える」戦略が有効です。こうした動向は、農林水産省の9月の価格見通しで確認できますのでぜひこまめにチェックしておきましょう。
今回は、仕入れ担当者様に向けて価格動向の要点、アスパラ&キャベツの使いどころ、玉ねぎ高騰時のポイントまでまとめております。今すぐ使える戦略になっていますのでぜひご確認ください。
1. 最新の価格トレンド(9月時点の全体感)
●高騰:玉ねぎ/長ねぎ/トマト:平年比で高い水準が続く。メニュー原価を直撃する“常連食材”だけに影響が大きく、代替メニューや代替野菜の検討も必要。
●割安・安定:キャベツ/アスパラガス/にんじん:キャベツは平年比で割安。アスパラは出荷ボリュームが立ち、価格も落ち着きやすい。にんじん・根菜系は保存が効き、原価安定に役立つ。
●混合:レタス・ピーマン…天候や産地リレーにより上下。週次で卸の見積チェックが必須。
参考:農水省「今週のお手頃野菜」ではレタス・ピーマンがお買い得、だいこん・にんじん・キャベツは平年並み推移(9/12更新)
2. 玉ねぎが高いと何が起きる?(3つのリスク)
●下味・香味のコスト上昇
例えば、ハンバーグやカレー、デミグラス系、炒め油と合わせるソテー玉ねぎなど、ベース工程で玉ねぎ使用が多い厨房は、一皿あたり原価がじわじわ上昇。
●在庫回転の悪化
高値のため発注を絞ると、不意の欠品で仕込みが崩れる。逆に“保険仕入れ”で余らせるとロス率が悪化。
● 価格転嫁の難しさ
インフレ状況とはいえ「玉ねぎ高騰」を理由にメニューの大幅な値上げはしづらい。メニューの構成と分量、代替素材で値上げ分を吸収することをしなければどんどんと利益が取れなくなる。
3. 玉ねぎ高騰時の“代替&圧縮レシピ”
●風味置換の基本
・玉ねぎの一部を長ねぎの青い部分+セロリの微量で香りを立てる。
・例えばミルポワのようなものもにんじん比率を上げ、玉ねぎを20〜40%減らせる。
・すりおろし玉ねぎ→業務用オニオンペーストで歩留まり確保(価格交渉でkg単価を抑える)
●テクスチャの工夫
・玉ねぎのシャキ感が必要なサラダは、キャベツの極細千切り+少量の紫たまねぎに置換
・加熱系は**きのこ(エリンギ・舞茸)**で噛みごたえを補い、うま味で満足感UP
●メニュー側の調整
・“玉ねぎを主に使うメニュー”は限定数化し、売り切り管理
・玉ねぎ使用量が少ないメニューを只今のオススメ商品へと切り替えていく
4. 今安い!キャベツの活用と仕入れ運用
●理由1:価格が割安・平年並みで安定
平年比−14%の報道も出る中で、メニューのボリュームを増やすことができるので満足度を両立できるのがキャベツ。農水省の直近公表でも平年並み推移の枠内にあります。
●理由2:歩留まりと回転が良い
外葉は千切りにしたり、出汁とり、下敷きに活用。芯は千切りやスープに活用できる。可食部率を高めることでロスがないのがキャベツ。
●理由3:メニュー展開が広い
・主菜の土台:とんかつ・唐揚げの付け合わせから、キャベツステーキなど主役化までカバー
・仕込み短縮:コールスローなど作り置きできるものもある。調理負荷とロスを軽減
・味幅:和(浅漬け)・洋(ソテー)・アジア(ナムル)など幅広く頻出
●仕入れ運用Tips
・玉の大きさと比重で選別。軽すぎる玉は芯割合が高く、歩留まりが落ちる
・1/2・1/4カット導入で日次回転を安定化(小規模店に有効)
・高騰局面では千切り量を−15%、ドレッシングを増粘で体感量を維持
5. 今安い!アスパラガス活用
●理由1:出荷量が多く、この時期は価格が下がりやすい
・北海道の露地栽培期を含むため4〜9月が主期で、9月は量がまとまり価格が落ち着きやすい。
・穂先が締まったものが良品という選び方が共有されており、旬の割安メリット+品質の安定を享受しやすい。
●理由2:調理スピードと映え
・食感維持のため短時間の調理に適している野菜
・緑の彩度が高く、写真映えする贅沢感がある
●理由3:利益設計がしやすい
・グラム売り・本数売りの量目制御が容易。仕入れ価格に応じて**“盛り方で調整”**が利く。
●仕入れ運用Tips
・穂先が閉じていて、切り口がみずみずしいものを優先
・湿らせたペーパーで包み、立てて冷蔵(先端保護)
・規格外・L/M混載をグリルや天ぷらのバイキング用途に回す
●メニュー例
・アスパラとベーコンのグリル/レモンバター
・アスパラ天(衣薄め)+抹茶塩
・アスパラの冷製ポタージュ(仕込みは冷凍ストックも可)
6. 仕入れ実務:今日からできる5アクション
①週1回・5分でもOK。業務用野菜卸の方とコミュニケーションに(相場/代替/規格外/来週の動向)
➁玉ねぎ→キャベツを主にしてサラダメニューの改定(白菜・きのこも良い)
③玉ねぎの調理はペースト+短時間ソテーなどを活用してボリュームを維持
④アスパラは量目で原価が変わるので仕入れ時注意(本数・長さを自店メニューと考慮して仕入れ)
⑤玉ねぎ高騰が収まるまでは週別でメニューの原価を確認して検証
【野菜別の保存のコツ】
キャベツ:外葉を残しポリ袋で冷蔵。芯を少量カットして湿らせたペーパーを差すと瑞々しさ維持。
アスパラ:立てて保管、穂先の乾燥厳禁。下部の皮をピーラーで軽く。
玉ねぎ:常温・乾燥・暗所。湿度が高い厨房はネット吊り。
作り置き:コールスロー、浅漬け、ナムルは調理の手間コストも削減可能。
7. 農林水産省のページを必ずチェック
農林水産省の野菜の生育状況及び価格見通し。この見通しは、直近の生育状況及び今後の生育と出荷の見通しから予測される、今後の価格見通しを公表することで、産地の出荷判断と消費者の購買行動の最適化を促し、野菜の供給及び価格の安定を図ることを目的としています。
●野菜が安くなりそうな場合
安値水準で推移することが見込まれる品目については、産地は出荷数量の調整に努めるとともに、消費者は積極的な購入を行う等により消費の拡大に繋がることが望まれます。
●野菜が高くなりそうな場合
高値水準で推移することが見込まれる品目については、産地は出荷数量の調整に努めるとともに、消費者においては一時的に安値品目の購入に切り替える等の行動に繋がることが望まれます。野菜産地では、日頃から安定的な生産と供給に努めていますが、天候等の影響により出荷数量や価格が不安定になることがありますので、最適な出荷判断と購買行動へ見通しを確認してつなげています。このような農林水産省の毎月の見通しを確認することで、今後の価格の傾向をつかむことができます。
●価格連動の考え方(一例)
・高騰期(玉ねぎ・ねぎ・トマト):量目を−10〜20%、盛り付け工夫でボリューム維持と彩りを補う。
・平年並み〜割安(キャベツ・アスパラ・にんじん):主役化して客単価は維持、粗利率を回復。
まとめ
・玉ねぎは平年比+25%の高値圏。無理に使い続けるのではなく、調理工程や盛り付けで見直せることはないか、代替できる野菜はないか。
・キャベツは割安で使い勝手が良い。千切り・浅漬け・ソテー・ステーキなどなど幅広い用途、ボリューム演出が可能。
・アスパラはこの時期お得で品質良好。穂先が閉じたものを選び、仕入れ時は用途に合わせて量目調整で粗利を守る。
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