8月は夏野菜が最も充実する時期ですが、飲食店の仕入れ担当者にとっては“価格の波”と“安定供給”の見極めが問われる重要なタイミングでもあります。特に天候による価格変動が起こりやすいこの時期こそ、「どの産地から何がどれくらい出荷されているか」を把握しておくことが、調達コストの最適化につながります。
本記事では、8月に旬を迎える代表的な野菜(きゅうり・キャベツなど)を、出荷量ランキング上位の都道府県ベスト3を紹介。さらに、それぞれの地域がなぜ安定的な供給を可能にしているのか、気候・農業体制・物流面から掘り下げて解説します。
今後の仕入れ計画や発注タイミングを見直すヒントとして、ぜひお役立てください。**必要なときに必要な量を、安定価格で仕入れるための“情報戦”**を制する準備は万全ですか?
きゅうり(2024年産:出荷量ベース)
農林水産省 令和6年作物調査の2024年産きゅうり収穫量(出荷量もほぼ同次元)では、全国トップは以下の3県です。
・宮崎県 – 収穫量:約58,700 t(全国の約11.7%)
・群馬県 – 約50,800 t(約10.1%)
・埼玉県 – 約40,400 t(約8.0%)
これら上位3県は、温暖な宮崎、野菜生産に強い群馬・埼玉と多様な気候・供給網を背景に、安定供給が可能です。
キャベツ(8月の卸売市場取り扱い量・東京都中央卸での順位)
東京都中央卸売市場で8月に出回るキャベツ類の取扱量上位は 、下記になります。
・群馬県 – 約12,243 t
・岩手県 – 約2,323 t
・長野県 – 約949 t
出荷量が多い理由:地域・物流の背景分析
1.宮崎県(きゅうり)
● 地理・気候的特徴
・温暖な気候:冬でも霜が降りにくく、ハウスを使えば年間を通じて栽培可能。
・日照時間の長さ:日射量が豊富で、きゅうりの光合成効率が高く、収量が安定。
・台風リスク分散:ハウス密度の高い内陸部(西都市など)では、自然災害の影響が相対的に少ない。
● 農業インフラ・体制
・JA系統の販売体制が確立しており、選果場での高効率な仕分け・出荷が可能。
・ハウス栽培率が高い(施設園芸が主流)ため、品質・サイズの均一化がしやすい。
・宮崎ブランド化支援:県の補助制度により農家の設備投資が進んでいる。
● 物流・流通
・宮崎空港・宮崎港を活用した空・海陸一体の物流体制があり、関西・中部圏まで翌日配送が可能。
・地元物流業者の共同出荷体制(例:農協×運送業者のパートナーシップ)により、安定的なトラック確保が可能。
2.群馬県(きゅうり、キャベツ)
●地理・気候的特徴
・冷涼な高原地帯(嬬恋村・昭和村など)では、夏でも高品質な葉物野菜の栽培が可能。
・日較差が大きいことから、野菜の甘み・風味が増し、商品価値が高い。
● 農業インフラ・体制
・大規模農家の比率が高く、1軒あたりの生産量が多いため出荷量が安定。
・嬬恋・昭和などの「キャベツ団地」ではトラクター・収穫機械化率が高く、作業効率が良い。
・県独自の農業支援制度により、後継者育成・IT農業(スマート農業)も進んでいる。
● 物流・流通
・首都圏から100〜150km圏内に位置し、輸送コストが低く済むため、価格競争力が高い。
・夜間・早朝配送ネットワーク(高崎・伊勢崎拠点)により市場に“朝採れ野菜”を間に合わせられる。
・クール便・共同配送の導入が進んでおり、小ロットにも対応。
3.埼玉県(きゅうり)
● 地理・気候的特徴
・関東ローム層の水はけのよい土壌により、病害に強く品質のよいきゅうりが育つ。
・都市近郊型農業として、消費地に近いため栽培スケジュールを市場動向に合わせやすい。
● 農業インフラ・体制
・ハウス栽培+露地栽培の両立により、4月〜10月の長期出荷が可能。
・新規就農者支援制度が整っており、小規模ながら高収益農家も多い。
・学校給食・地域直売所との連携で、規格外品のロスも少ない。
● 物流・流通
・市場(大田・足立・北足立市場など)との距離が近く、早朝収穫→即日納品が可能。
・鮮度保持の観点で“氷詰め対応”や冷蔵車輸送を標準化しており、品質クレームが少ない。
・野菜コンテナ流通の先進地域でもあり、サステナビリティ対応でも注目
4.岩手県(キャベツ)
● 地理・気候的特徴
・東北地方の中でも標高が高く冷涼(特に岩手町)は、真夏でも適した環境。
・昼夜の寒暖差でキャベツの巻きが良く、品質が安定。
● 農業インフラ・体制
・JAいわてグループの広域選果場・冷蔵施設が整備され、集中出荷が可能。
・農業法人の割合が高く、人手不足への対応が進んでいる。
● 物流・流通
・首都圏への輸送は深夜便が主流で、到着時間をコントロールしやすい。
・大消費地向け出荷を前提とした冷蔵保管・リードタイム調整が整備されている。
5.長野県(キャベツ)
● 地理・気候的特徴
・標高1,000m以上の高原(野辺山・開田など)は真夏でも20度前後と冷涼で、夏キャベツの名産地。
・日照時間が長く、しっかり巻いたキャベツが育つ。
● 農業インフラ・体制
・契約栽培・共同出荷体制が整っており、加工業者向けや外食向けの安定供給が可能。
・観光農園と両立する複業農家も多く、地元経済との接続が強い。
● 物流・流通
・中央道・関越道など高速ネットワークが強みで、朝採れキャベツを午前中に都心へ納品可能。
・JR貨物や農業専門便との連携による輸送コストの最適化も進んでいる。
まとめ:今すぐ押さえるべき出荷上位3県(8月の野菜仕入れ視点から)
・きゅうり:宮崎 → 群馬 → 埼玉
・キャベツ(市場流量から):群馬 → 岩手 → 長野
上記の都道府県は年間を通じても上位ですが、特に旬で流通量が上がる8月に向けては今から仕入計画を練られているかと思いますので知識として入れていただければお役に立つかと思います。
さらに、業務用野菜卸を利用することで、仕入れの効率化が進むとともに、メリットがありますので下記にご紹介いたします。
・品質の安定性
業務用野菜卸業者は、食材の品質管理を徹底しており、常に一定の品質で商品を提供してくれます。特に大量注文の場合、品質のばらつきが起こりにくいため、厨房スタッフの手間が減り、品質のムラがなくなります。
・コストの最適化
業務用野菜卸業者を通じて仕入れることで、まとめて仕入れることができるため、単価を引き下げることが可能です。さらに、長期契約や定期配送を利用することで、配送費用を抑えることもでき、経費の削減につながります。
・納期の調整と柔軟性
業務用卸業者は、納期や配送スケジュールに柔軟に対応してくれるため、急な注文や予期せぬトラブルにも迅速に対応できます。また、旬の野菜に関する情報を提供してくれるため、季節に合わせたメニュー変更にも対応しやすくなります。
・物流の効率化
業務用卸業者は、効率的な物流システムを持っており、仕入れ担当者としては、在庫管理や配送スケジュールに余計な手間をかけずに済みます。業務用野菜卸を通じて仕入れれば、食材が新鮮な状態で手元に届くため、品質を保ったまま調理に使えます。特に、昨今のような野菜価格の高騰が頻発していたり猛暑で納期が変動するなどといったことが起こっているときには非常に頼りになる仕組みと言えるでしょう。
値上げの厳しい昨今になりましたので、これらを元に業務用野菜卸の活用もいただければより効率よく経費削減になるかと思いますので下記にて弊社のサービスもご紹介させていただきます。
弊社アジアインタートレードのご紹介
アジアインタートレードでは、全国100以上の野菜卸業者から最適な価格で新鮮な国産野菜を仕入れることができます。全国の卸売市場に対応し、最適な価格での仕入れと配送が可能です。
野菜の仕入れに関して、お気軽にアジアインタートレードまでお問い合わせください。
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メール:kiyoshi.takagi@apconsulting.jp
担当:高木まで