2025年5月【業務用野菜卸のプロが解説】新玉ねぎと普通の玉ねぎの違いとは?飲食店の仕入れ担当者が知っておきたい使い分けと調理法

はじめに:飲食店の「野菜仕入れ」における玉ねぎ選びの重要性とは?

飲食店を経営されている皆さま、あるいは業務用野菜卸から仕入れを担当されている方へ。日々の野菜仕入れの中で、「玉ねぎ」は欠かせない食材のひとつです。サラダ、カレー、煮物、スープ、揚げ物など、和洋中問わず幅広い料理に使用される玉ねぎですが、皆さんは「新玉ねぎ」と「普通の玉ねぎ」の違いをご存知でしょうか?

 

「玉ねぎなんて、どれも同じでしょ」と思っていると、実は仕入れの選定ミスでコストが増えたり、料理の仕上がりに差が出たりする可能性があります。特に、飲食店などでは大量調理・ロス管理・保存性などの観点から、品種の特性を活かした適材適所の仕入れが重要です。

 

この記事では、業務用野菜卸の視点から「新玉ねぎと普通の玉ねぎの違い」「仕入れ時の判断基準」「飲食店にとっての最適な使い分け方法」などを徹底解説。読めば、今日からプロの仕入れ担当者としての目利きができるようになります。

 

新玉ねぎと普通の玉ねぎの違いを簡単におさらい

スーパーでよく見かける新玉ねぎと普通の玉ねぎ。一見似ていますが、収穫時期、熟成度合い、見た目、味わい、そして水分量において、明確な違いがあります。新玉ねぎは春先に収穫される若い玉ねぎで、そのみずみずしさと甘さが特徴です。一方、普通の玉ねぎは、収穫後に熟成させることで辛味が強まり、長期保存が可能になります。

では、サラダや煮込み料理など、それぞれの玉ねぎをどのように使い分ければ良いのでしょうか?それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

 

まずは、基本的な違いを押さえましょう。新玉ねぎは、春(3月〜5月)に出回る、収穫後すぐに出荷される「未熟成」の玉ねぎ。一方、普通の玉ねぎは夏に収穫されてから1か月ほど乾燥させて熟成されたものです。

 

●収穫と出荷のタイミングがカギ

種類 収穫時期 熟成 水分量 保存性
新玉ねぎ 春(3月~5月) なし 約90% 冷蔵で2~3日
普通の玉ねぎ 夏(6月~8月) 約1か月 約80% 常温で数か月
比較項目  新玉ねぎ 普通の玉ねぎ
皮の色 白〜薄茶色、柔らかくツヤあり 茶色、乾燥して硬め
味わい 甘く、刺激が少ない 辛味が強く、加熱で甘みに変化
食感 柔らかくシャキシャキ 硬めでしっかり、加熱でとろみが出る

新玉ねぎと普通の玉ねぎを見分けるには、外観を注意深く観察することが大切です。まず、皮の状態に注目しましょう。新玉ねぎは皮が薄くて白っぽく、表面にツヤがあるのが特徴です。触ってみると柔らかく、水分を多く含んでいるため、軽く押すと弾力を感じられます。新玉ねぎは、白くて皮が薄く、みずみずしいのが特徴、甘みが強く、生食向き。

一方、普通の玉ねぎは茶色い外皮が厚く乾燥しており、全体的に硬く締まった質感です。断面を見ると、層がはっきりと分かれており、密度が高いことがわかります。普通の玉ねぎは、茶色く硬い皮に覆われ、長期保存に優れています。辛味があり、熟成されている分、煮込みや炒め物などの加熱調理に適しています。

 

●業務用野菜卸での使い分け例

新玉ねぎ:春季限定メニュー、サラダ、マリネ、副菜、スープ

普通の玉ねぎ:定番メニュー(カレー・ソテー・煮込み料理)、長期保存用

特に業務用野菜卸では、季節に応じた商品提案や価格の変動を加味しながら、店舗のメニュー構成に合う仕入れが求められます。

 

お店で選ぶ際には、新玉ねぎなら表面に傷がなく、ずっしりと重みのあるもの、普通の玉ねぎは皮にツヤがあり、カビがないものを選ぶと良いでしょう。春先には葉付きの新玉ねぎも販売されます。葉の鮮やかな緑色も新鮮さを見分けるポイントになります。

 

味と食感の違いはどこから?硫化アリルと水分量がカギ

新玉ねぎと普通の玉ねぎでは、「辛味」と「甘味」のバランスが大きく異なります。この違いは、硫化アリル(アリシン)という成分と、玉ねぎに含まれる水分量によって生まれます。

 

●硫化アリルとは?

硫化アリルは、玉ねぎを切ったときに目が痛くなる原因でもあり、辛味の元です。

新玉ねぎと普通の玉ねぎの味の違いは、主にこの硫化アリル(アリシン)の含有量と水分量によって決まります。新玉ねぎは収穫後すぐに出荷されるため、辛味成分である硫化アリルの生成が少なく、甘みが際立つのが特徴です。一方、普通の玉ねぎは約1ヶ月間乾燥させる過程で酵素反応が進み、硫化アリルが増加して辛味が強くなります。

比較項目  新玉ねぎ 普通の玉ねぎ
水分量 約90% 約80%
糖度 約8度 約5度

糖度で見ると新玉ねぎの方が甘みを感じやすく、生のままでも十分においしく食べられます。水分量が多いことで、シャキッとした食感とジューシーさも際立ちます。

新玉ねぎを使う際は、薄切りにして10分ほど空気にさらすと、より甘みが際立ちます。一方、普通の玉ねぎは、みじん切りにしてじっくり炒めることで、うまみ成分が凝縮されます。これらの食感の違いを意識して使い分けることが、料理の出来栄えを大きく左右するポイントとなります。

 

業務用としての保存性と調理効率|野菜卸のプロが見るポイント

飲食店における野菜仕入れでは、コストパフォーマンスと廃棄ロスの最小化が非常に重要です。この観点から見ると、新玉ねぎと普通の玉ねぎでは大きな違いがあります。

 

●保存期間が大きく異なる

・新玉ねぎは皮が薄く水分量が多いため、傷みやすく賞味期限が短い(冷蔵保存で2~3日程度)

・普通の玉ねぎは乾燥・熟成されているため、冷暗所で数週間から1~2か月保存可能

大量仕入れを行う業務用現場では、保存性の高さ=ロスの少なさにつながります。業務用野菜卸業者もこの点を加味して納品計画を立てる必要があります。

 

●調理現場での扱いやすさの違い

・新玉ねぎ:皮が柔らかく手でむけるため、人件費削減・時短に効果あり

・普通の玉ねぎ:皮は硬いが、加熱後の食味の安定性が高く、業務メニューに向く

飲食店のオペレーション設計では、「即日使い切り」や「仕込み時間短縮」が求められるシーンでは新玉ねぎ、それ以外では普通の玉ねぎといった使い分けが合理的です。

 

栄養価と機能性|飲食店の付加価値提供に活かす

栄養素  新玉ねぎ(100gあたり) 普通の玉ねぎ(100gあたり)
ビタミンC   7mg 4mg
食物繊維 1.5g 1.2g
カロリー 約33kcal 約37kcal

新玉ねぎと普通の玉ねぎは、見た目や食感だけでなく、栄養価や健康効果にも違いがあることをご存知でしょうか?ここでは、硫化アリルの含有量の差から生まれる健康パワーの違い、新玉ねぎに豊富なビタミンCと食物繊維の特徴、加熱調理による栄養価の変化、そして効果的な栄養摂取のポイントを徹底的に比較します。それぞれの玉ねぎの特性を活かした食べ方を知れば、健康効果を最大限に引き出せるはずです。

 

●新玉ねぎのメリット

・ビタミンCが豊富 → 美肌・免疫力訴求メニューに最適

・生食できるため栄養価が損なわれにくい

新玉ねぎは、通常の玉ねぎに比べてビタミンCの含有量が約1.5倍も多いという特徴があります。100gあたり7mgのビタミンCを含み、特に生で食べることで効率的に摂取できる点が魅力です。

また、新玉ねぎは水溶性食物繊維も豊富に含んでいるため、腸内環境を整える効果も期待できます。みずみずしい食感を活かしてサラダやマリネにすれば、栄養素の損失を最小限に抑えることが可能です。さらに、新玉ねぎは約90%が水分で構成されているため、ビタミンやミネラルの吸収率を高める効果も期待できます。低カロリー(1個あたり約66kcal)でありながら満腹感を得やすいので、ダイエット中の食材としても適しています。

 

●普通の玉ねぎのメリット

・加熱によって抗酸化物質ケルセチンが活性化

・血流改善や抗炎症作用も期待

玉ねぎを加熱調理すると、栄養成分に変化が起こります。通常の玉ねぎに含まれる辛味成分であるアリシン(硫化アリルの一種)は、加熱によって分解され、代わりに抗酸化作用を持つケルセチンが活性化します。この変化によって、血液サラサラ効果や動脈硬化予防効果がより発揮されやすくなるのが特徴です。一方、新玉ねぎは水分含有量が約90%と高いため、長時間の加熱調理では栄養素が流出しやすい性質があります。

玉ねぎの健康効果を最大限に引き出すためには、加熱温度と時間をコントロールすることが重要です。新玉ねぎは軽く火を通す程度に留め、普通の玉ねぎはじっくり加熱するのが効果的な使い分け方と言えるでしょう。

 

調理法別の使い分け|飲食店のレシピに直結!

どちらの玉ねぎも非常に汎用性の高い野菜ですが、味と水分量の違いを踏まえると、調理法による「最適な活用術」が見えてきます。

●新玉ねぎに向く調理法

・サラダ・マリネ:そのままスライスして生食。酢水にさらすと辛味がさらに軽減。

・スープ・蒸し料理:軽く火を入れるだけで甘みがアップ。

・炒め物:短時間調理で柔らかく、ジューシーな仕上がりに。

※新玉ねぎのスライスは、繊維を断つように切ると、よりやわらかく仕上がります。

 

●普通の玉ねぎに向く調理法

・カレー・ハンバーグ:炒めて甘みを引き出し、ベースの旨味を構築。

・煮込み料理:長時間加熱でとろみが出て、深いコクを演出。

・オニオンソース・スープ:飴色になるまで炒めて濃厚な風味に。

普通の玉ねぎは、じっくりと熱を通すことで最大限の甘みと香ばしさが引き出されるという特徴があります。

 

もう一度おさらいになりますが、玉ねぎの栄養を効果的に摂取するためには、それぞれの玉ねぎの特性を理解した上で、適切な食べ方をすることが大切です。新玉ねぎはビタミンCが豊富で水溶性のため、生食がおすすめです。薄切りやスライスサラダにすると、栄養素を逃さずに摂取できます。また、すりおろすことで細胞が壊れ、酵素の働きが活性化し、硫化アリルの吸収率が向上します。

加熱調理する場合は、新玉ねぎは電子レンジで1分ほど加熱するか、蒸し調理が最適です。これにより、ビタミンCの損失を30%程度に抑えることができます。普通の玉ねぎは弱火でじっくり炒めることで、ケルセチンが2倍に増加し、抗酸化作用が高まります。

調味料との組み合わせも重要です。新玉ねぎはオリーブオイルと合わせると、脂溶性成分の吸収率が1.5倍向上します。普通の玉ねぎはニンニクと一緒に調理すると、アリシンとビタミンB1の相乗効果で疲労回復効果が期待できます。

 

野菜卸選びのポイントと仕入れ担当者のチェックリスト

「どこから仕入れるか」は、飲食店経営を左右する重要な要素です。特に野菜卸業者選びにおいては、価格だけでなく供給の安定性・鮮度・提案力など、さまざまな側面から比較検討する必要があります。

 

●業務用野菜卸を選ぶ際の3つの基準

1、安定供給と納期対応

・玉ねぎのように需要が高い野菜は、欠品のない安定供給が必須。

・納品日・カット加工・ケース単位など、柔軟な対応力を重視。

2、産地直送や旬野菜の提案力

・春は新玉ねぎ、夏は赤玉、秋冬は貯蔵玉など、季節に応じた提案ができる業者は信頼できる。

・飲食店のメニュー構成にも大きく影響。

3、価格の透明性と変動対応

・野菜の相場は天候や市場状況に左右されやすい。

・月間契約や相場連動制度を取り入れている業者は管理しやすい。

 

飲食店におすすめ!玉ねぎの特性を活かしたレシピ5選

「仕入れた野菜をいかに活用するか」は、食材ロス削減と利益率向上のカギです。ここでは、新玉ねぎ・普通の玉ねぎそれぞれの特徴を活かした実践的なレシピ例をご紹介します。業務用野菜卸から仕入れた玉ねぎを最大限に活用しましょう。

 

1. 【新玉ねぎ】甘みを引き出す「丸ごとロースト」

おすすめ理由:甘みと香ばしさが引き立ち、前菜や付け合わせに最適。

・新玉ねぎを皮ごとアルミホイルで包み、オーブンで180℃で40分焼くだけ。

・岩塩やバターを添えるだけで、自然な甘みが際立つ一品に。

 

2. 【新玉ねぎ】しゃきしゃき食感の「春サラダ」

おすすめ理由:加熱せずとも甘く、季節感のある生野菜メニューとして人気。

・新玉ねぎを薄くスライスし、氷水に5分ほどさらす。

・トマトやレタスと合わせ、シーザードレッシングまたはポン酢で和える。

 

3. 【普通の玉ねぎ】炒めてコクを出す「飴色オニオンスープ」

おすすめ理由:旨味と香ばしさを活かせる、定番の業務メニュー。

・スライス玉ねぎを弱火で30分以上炒めて飴色に。

・コンソメと水で煮て、バゲットとチーズを添えればリピート率の高い一皿に。

 

4. 【普通の玉ねぎ】ベースに最適な「本格カレーの玉ねぎソテー」

おすすめ理由:玉ねぎの甘味と深みが、ルー全体の味を決定づける。

・みじん切りにした玉ねぎを油でじっくり炒め、きつね色になるまで加熱。

・カレー粉やスパイスと合わせて使用すれば、香り高い本格派カレーに。

 

5. 【両方】玉ねぎ2種の「Wオニオンソース」

おすすめ理由:新玉ねぎの甘み+普通の玉ねぎのコク=最強ソース。

・普通の玉ねぎを炒めてベースを作り、新玉ねぎをすりおろして加える。

・肉料理やハンバーグのソースとして使えば、差別化された味に。

 

業務用野菜卸の活用で、飲食店の運営効率を上げる

飲食店の成功は、「仕入れ」で決まると言っても過言ではありません。玉ねぎのように使用頻度の高い野菜こそ、信頼できる業務用野菜卸から安定供給を受けることで、品質の安定・コスト削減・オペレーション効率化が実現します。

 

また、プロの野菜卸であれば以下のようなサポートも受けられます:

・季節ごとのおすすめ野菜の提案(例:春は新玉ねぎ、夏は赤玉ねぎ)

・使用用途別のカット済み加工サービス

・天候・相場変動への対応力(例:高騰時の代替品提案)

飲食店の仕入れ担当者としては、価格表を見るだけではなく、野菜卸業者の「提案力」や「柔軟な納品体制」にも注目するとよいでしょう。

 

まとめ:新玉ねぎと普通の玉ねぎ、特性を知って賢く仕入れよう

ここまで、「新玉ねぎ」と「普通の玉ねぎ」の違いと使い分け、そして飲食店での活用方法について解説してきました。あらためて要点をまとめましょう。

・新玉ねぎは春限定、甘みが強く生食に向く

・普通の玉ねぎは通年流通、加熱によってコクと旨味が増す

・保存性・調理法・レシピごとに最適な使い分けが必要

・業務用野菜卸を活用することで、コストと品質を両立できる

この違いを理解することで、単なる「玉ねぎの仕入れ」が、戦略的なメニュー設計・利益改善・顧客満足度向上に直結します。

 

弊社アジアインタートレードのご紹介

アジアインタートレードでは、全国100以上の野菜卸業者から最適な価格で新鮮な国産野菜を仕入れることができます。全国の卸売市場に対応し、最適な価格での仕入れと配送が可能です。

野菜の仕入れに関して、お気軽にアジアインタートレードまでお問い合わせください。

電話:03-6454-4363 

メール:kiyoshi.takagi@apconsulting.jp

担当:高木まで