野菜の価格が高騰する理由

農林水産省は、東京都中央卸売市場に出荷される野菜の生育状況及び価格見通しについて、主産地等からの聞き取りを定期的に公表しています。直近、7月の発表では、はくさい、キャベツ、レタスが天候が順調であったため、例年と比べて多くの野菜で生育が良好で安値傾向となる見込みです。平成23年から主産地、卸売会社、中間事業者等から聞き取りを行い、その結果は過去のものも農林水産省ホームページに掲載されています。では、このような野菜の価格の変動はどのようにして起こるのかについて今回はご紹介していきます。

 

天候不良

豪雨や猛暑といった異常気象や天候不良によって野菜の生育、収穫状況が大きく変化することが価格が高騰する理由の原因としてよく発生します。長雨や曇天での日照不足になるとレタスやキャベツなど葉物野菜が根腐れして収穫量が落ちてしまいます。例えば、レタスの産地として有名な長野県の場合、平年の7月の降水量が134.4mm、日照時間が168.8時間です。日照不足となった年は、降水量が平年の2.2倍、日照時間が平年の32%になりました。こういった長雨と日照不足が、全国的に広がると野菜が軒並み値上がりしてしまいます。また、猛暑を超える酷暑による高温や干ばつでも、生育が悪くなり値上がりは起こります。雨が降らないで炎天下でも葉に水分がいきわたらずダメになり、豪雨では水没したりしてダメになり、曇りでも日照不足でダメになる。日頃、当たり前のように食べている野菜も、本当に天候に左右されて大変だということが少しわかりますね。

 

人件費、輸送費の高騰

野菜価格高騰の原因は、野菜の生産・収穫状況やだけに限りません。収穫後、店頭に並ぶまでの間にかかる人件費や輸送費も、原因として挙げられます。例えば、キャベツの小売価格にかかる輸送費の割合は約8%だと言われています。輸送には軽油で走るトラックが用いられることが大半ですが、その軽油価格は年々上昇傾向にあります。約8%を占める輸送費、そこで用いられる軽油価格が上昇すると、輸送費が上昇することで野菜価格も上がってしまいます。野菜は生産者・集出荷団体・仲卸・小売り、を通して消費されるので、その間を通る過程の営業努力で小売価格への転嫁を抑えられてはいるものの、外部要因で変動する燃料の価格が急上昇した際は、避けられないコストになります。こういった理由で、野菜価格の高騰は運送にかかわる原油価格の変動によっても起こっています。

さらに、人件費も同様です。運送はもちろん、生産~小売りまであらゆる業界で現在は人手不足が問題視されていますし、昨今のコロナ禍で加速しています。野菜が流通する過程を多く通れば通るものを購入するだけ、人件費と輸送費が転嫁されていきますので高騰につながっていきます。

 

価格変動を確認できる仕組み

前段でご紹介した、農林水産省の野菜の生育状況及び価格見通し。この見通しは、直近の生育状況及び今後の生育と出荷の見通しから予測される、今後の価格見通しを公表することで、産地の出荷判断と消費者の購買行動の最適化を促し、野菜の供給及び価格の安定を図ることを目的としています。

●野菜が安くなりそうな場合

安値水準で推移することが見込まれる品目については、産地は出荷数量の調整に努めるとともに、消費者は積極的な購入を行う等により消費の拡大に繋がることが望まれます。

●野菜が高くなりそうな場合

高値水準で推移することが見込まれる品目については、産地は出荷数量の調整に努めるとともに、消費者においては一時的に安値品目の購入に切り替える等の行動に繋がることが望まれます。野菜産地では、日頃から安定的な生産と供給に努めていますが、天候等の影響により出荷数量や価格が不安定になることがありますので、最適な出荷判断と購買行動へ見通しを確認してつなげています。このような農林水産省の毎月の見通しを確認することで、今後の価格の傾向をつかむことができます。

 

 

以上、野菜の価格が高騰する理由をご紹介致しました。飲食店にとって安定供給と適正価格での調達は生命線とも言えます。弊社アジアインタートレードでは、全国100以上の中央卸売市場から最安値を比較して、最寄から仕入れることができるお手伝いをしております。野菜の価格高騰のような厳しい環境でも、お役に立てる情報があるかと思いますので、ぜひご覧いただければ幸いです。