値引き合戦から離脱し国産野菜100%で成功したリンガーハット

皆さんはリンガーハットをご存知でしょうか? 今や知らない人はほとんどいないであろうリンガーハットですが、飲食チェーン各社が値引き合戦を行う中、いち早く行動し、その立ち位置を不動のものとしたのがリンガーハットです。

 

実は、このリンガーハットの転機は今からさかのぼること10年前、低価格競争に便乗していたリンガーハットは商品価格の値下げをしますが、これが人件費の削減に繋がり、結果的にサービス低下に繋がったために気が付けば顧客離れという負のスパイラルを起こしていました。

 

このままじゃ最悪の場合は倒産に追い込まれると危機を感じたリンガーハットは、時代の流れを読み、当時、日本人が飲食店に求めるものが健康ブームであると察します。そして、リンガーハットは麺などの上に乗せる具材などを100パーセント国産野菜にしました。

 

当然、このプロジェクトを形にするには、野菜の仕入れ場所を確保する必要がありましたので、15道県の40の産地の農家と提携することからプロジェクトを実現へと動かしていきました。

 

とはいえ、農家に対してもある程度の好条件をつけなければ契約することはできませんでしたので、契約農家が作った野菜を全てリンガーハットが買い取るということを条件とし、さらにここ以外から買わないことを農家に約束したのです。

 

とはいえ、必要のない分の野菜をつくっても無駄が出てしまうので、農家と相談をしながら必要な分だけ野菜を作り、肥料や農薬などの管理も現地までリンガーハットのスタッフが出向いて行いました。

 

このような場合は農家任せにしてしまう企業も多いですが、リンガーハットはこのあたりまでを徹底していたために今の立ち位置を作ったといっても過言ではないでしょう。その後、リンガーハットは更なる健康志向を高めるために次々と健康志向に寄せていきました。

 

餃子や麺などに使用する小麦粉も元々は輸入のものに頼っていましたが、全て国産にこだわるようにしていったのです。外国産が悪いというわけではないのですが、日本人のイメージでは国産は安全だと考えている方が多いためにこの試みは大成功しました。

 

素材にこだわるということは確かにコスト面で厳しくなり、顧客に食べ物を届けるのにお金を負担してもらわないといけないこともありますが、健康志向の層は多少高くても安心して食べられるものを選択するという時代の流れをリンガーハットは読んだのです。すばらしいですね。